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国際労働機関(ILO)がCOVID-19による労働市場への影響を調査

2020.7.2

 国際労働機関(ILO)は5月27日、新型コロナウイルス(COVID-19)が労働市場にどう影響したかを分析した資料を「ILO monitor: COVID-19 and the world of work 4th edition(新型コロナウイルスと仕事の世界ILOモニタリング第4版)」として発表しました。今回の資料でウイルスの世界的なパンデミックが若者に与えた影響が、他の年齢層に比べ異常に大きいことと、2月以降、若者の急激かつ大幅な失業増加が、男性よりも女性の方により厳しいものだったことを明らかにしています。以下に、ジュネーブ発英文記者発表の抄訳から抜粋します。

 ILOなどが最近実施した世界調査からはCOVID-19の世界的大流行以前には就労していたものの、今は働いていない若者が6人に1人を上回り、就労中の人も労働時間が23%減少したことが分かりました。

 2019年時点で既に、若者の失業率は13.6%と、他のどの年齢層よりも高く、就業も就学も訓練受講もしていないニート状態の若者は世界全体で約2億6,700万人に上りました。15~24歳の若者は、働いている場合も、低賃金職や非公式部門(インフォーマル・セクター)の仕事、移民労働者など、脆弱な就労形態の場合が多くなっています。

 ウイルスの世界的大流行は、雇用を破壊しているだけでなく、教育や訓練を中断させ、若者の就職活動や転職の大きな障害になっているといったように、若者に三重のショックを与えています。このような状況に鑑み、モニタリング資料は、先進国の場合は幅広い就労・訓練保障プログラム、中・低所得国の場合は雇用集約的なプログラムや就労保障など、若者を支える、対象を定めた大規模な緊急政策対応の必要性を説いています。

 モニタリング資料はまた、職場復帰のための安全な環境作りの方策を分析し、世界保健機関(WHO)が推奨するような、新型コロナウイルス感染対策としての症例発見・検査・接触追跡・隔離・看護といった検査・追跡法の採用は、封じ込めや都市封鎖といった移動制限の措置よりも社会に与える混乱を相当に小さくすると結論づけています。検査・追跡法を厳しくするほどに労働市場の混乱の度合いは低下し、厳しい検査・追跡法が導入された国では労働時間の平均減少幅が最大で半分程度になることが示されています。

 この理由として、次の3点が挙げられています。

  • 検査・追跡法によって厳しい封じ込め措置にあまり頼らなくなること、
  • 人々の信頼感を高めて消費を奨励し、雇用を支える効果があること、
  • 職場業務の遂行における混乱を最小化する助けになること

 さらに、検査・追跡法自体が、たとえ一時的なものであったとしても新たな雇用を創出する可能性があり、これを若者その他の優先集団を対象としたものにすることもできるでしょう。

 今回のモニタリング資料は前回同様に、1)経済と雇用の刺激、2)企業、雇用、収入の支援、3)職場における労働者の保護、4)社会対話に頼った解決策探求の4本柱戦略にのっとり、労働者と企業を支える緊急措置の即時発動を提案しています。

 ガイ・ライダーILO事務局長は、「新型コロナウイルスによる経済危機が女性を中心に、他のどの集団よりも若者に深刻かつ素早い打撃を与えていることを指摘し、この状況を改善する相当規模の行動を即時に取らない限り、ウイルスの遺産が何十年も残るであろう」と、注意を喚起しています。そして、「私たちが不安と闘い、リスクを減らし、経済と社会を素早く再始動させるには、検査と追跡が総合政策の重要な一部になり得る」とも指摘しています。

(この項終わり)