共同センターロゴ小今月の話題(2019年6月)

70歳までの就業機会確保のための法整備は

2019.6.2

 「人生100年時代の到来は、大きなチャンスです。元気で意欲ある高齢者の方々に、その経験や知恵を社会で発揮して頂くことができれば、日本はまだまだ成長できる。」(第198回国会施政方針演説から)

 政府は「第27回未来投資会議」において、「全世代型社会保障における高齢者雇用促進及び中途採用・経験者採用促進」について検討し、公表しています。

 その中で、70歳までの就業機会確保のため、定年の廃止、70歳までの定年延長、個人の起業支援など、法整備上で許容できる選択肢を提示した上で、70歳までの雇用確保を努力義務化するとともに、2020年の通常国会への法案提出を目指しています。

 政府は議論の中で、高齢者の雇用・就業機会を確保するには、それぞれの高齢者に応じた働き方の選択肢を広げるため多様な選択肢を法整備し、企業が高齢者にどのような働き方を用意できるか労使で話し合う仕組みが必要だとしています。

 あわせて、企業が65歳から70歳までの高齢者と相談し、働き方の選択ができるように、次のような仕組みを提示しています。

  1. 定年の廃止
  2. 70歳までの定年延長
  3. 継続雇用制度導入(現行65歳までの制度と同様、子会社・関連会社での継続雇用を含む)
  4. 他の企業(子会社・関連会社以外の企業)への再就職の実現
  5. 他の企業とのフリーランス契約への資金提供
  6. 個人の起業支援
  7. 個人の社会貢献活動参加への資金提供

 これらのイメージから、企業が高齢者を採用するために労使で話し合う点と、法制上の整備を図ることの中に年金問題が指摘されています。「70歳までの就業機会の確保に伴い、年金支給開始年齢の引き上げは行わない。他方、年金受給開始年齢を自分で選択できる範囲(現在は70歳まで選択可能)は拡大する」としています。

 また、地方への人材供給の確保については、「日本全体の生産性を向上させるためにも、地域的にも業種的にもオールジャパンでの職業の選択がより柔軟になることが必要である」として、疲弊が進む地方には、経営水準を高度化する専門・管理人材を確保する意義は大きいと指摘しています。そして、大都市圏の人材を中心に、転職・副業・副業の場、定年後の活躍の場を求める動きは今後さらに活発化していくとみられ、これらをマッチングしていくことが最重点課題の1つとしています。

 しかし、地方の中小・小規模事業者は、適切な人材をどう求め、どう活かすかは明確化できず、適切な求人、獲得した人材の適切な処遇ができず、その結果、地方の人材市場は未熟で、紹介事業者も事業の展開は消極的なため、地方への人材流動が現状では限定的だと分析しています。

 この現状に対し、次の3点に重点的、集中的に取り組むことが必要だとしています。

  1. 受け手である地域企業の経営戦略や人材要件の明確化を支援する機能の強化(地域金融機関の関与の促進等)
  2. 大都市圏の人材とのミスマッチング機能の抜本的強化
  3. 大都市圏から地方への人材供給の促進を促す仕組みを構築し、大都市圏から地方への専門・管理人材の流れを一気に加速させていくこと

 今日、労働人口の減少や健康寿命の延びなどで高齢者の就業意欲も上向いています。それはかつての「余生」や「退職後の生きがい」よりも、貰う年金では退職後の生活が保障されないことや、消費水準を大きく落とさず生活したいことなど、高齢者それぞれが独立した個人として自活したい「経済的な要因」があります。

 高齢者の就業機会の確保は、今までの経験や知恵を活かすのみならず、新たなチャレンジができる仕組みもまた、ともに整備されることが望まれます。

(この項終わり)