勤務時間インターバル制度
2019.1.6
2018年6月、「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」が改正され、「勤務時間インターバル制度」が定められました。
勤務時間インターバル制度とは、労働者の生活時間や睡眠時間の確保をするため、勤務時間終了後から次の始業時間までの間に一定の時間以上の休息時間を設けるものです。
特別措置法の第2条1項では、事業主等の責務を次のように定めています。
事業主はその雇用する労働者の労働時間等の設定の改善を図るため、業務の繁閑に応じた労働者の始業及び就業の時刻の設定、健康及び福祉を確保するために必要な就業から始業までの時間の設定、年次有給休暇を取得しやすい環境の整備その他の必要な措置を講ずるように努めなければならない。
しかし、休息時間を何時間確保すべきかは、記載されていません。 そうしたこともあってか、厚生労働省が実施した「平成30年就労条件総合調査」では、制度導入の企業割合が1.8%と非常に低調でした。
政府は制度の普及に向けて、「労使関係者を含む有識者検討会」を設け、2017年3月から5回にわたり「勤務間インターバル制度」の導入メリットや課題、普及に向けた取り組みなど検討を重ね、12月4日、休息時間を「8~12時間」と例示する報告書を公表しています。
また、この報告書では、制度の普及に向けた課題として次のような問題点を指摘しています。
- 制度の認知度が低い
- 制度導入の手順がわからない
- 就業規則の整備等に係わる経費負担
- 突発的な業務が発生した際の代替要員の確保
そして、普及に向けた取り組みとして次のような提案を行いました。
- 導入事例集を活用し、行政機関はもとより地域の関係団体等と連携して制度の周知を行う
- 制度導入の手順をまとめた「導入に向けたポイント」を参考に、更なる導入促進を図る
- 助成金による導入支援を引き続き行うとともに、労務管理の専門家による相談支援を実施する
- 関係省庁が連携を図りながら、取引環境の改善に向けた取り組みを一層推進する
報告内容には、導入に向けたポイントなど、導入までの各プロセスにおける主な検討項目と留意事項まで添えられています。 しかし、事業主が「勤務間インターバル制度」を導入するまでには、
- どの範囲の従業員に適用するか
- 裁量労働制やフレックスタイム制度との関係はどうしたらよいか
など、事業場ごとに異なる検討事項が存在します。
労使間で十分に協議し、試行期間なども設けた上で、過労死等を防ぐにとどまらず「働き方改革」に繋がるような、信頼できる制度の導入が望まれます。
(この項終わり)