共同センターロゴ小今月の話題(2018年11月)

医療と仕事の両立は難しい

2018.11.2

 「子育てと仕事の両立」や「介護と仕事の両立」は、今まで働き方の課題として注目されてきました。しかし、平成29年3月に政府の「働き方改革実行計画」が策定され、「治療と仕事の両立」支援がかかげられ、今や社会的な関心が高まってきています。

 「治療と仕事の両立」の実現には企業の取り組みが重要です。そして、産業医等と共に病気になっても働き続けたい社員の気持ちをくみとり、治療と仕事の両立を実現させている企業が出てきていますが、支援への課題もあるようです。

 独立行政法人 労働政策研究・研修機構が企業を対象に行った調査では、支援の課題として、「休職者の代替要員・復帰部署の人員の増加が難しい」(54.3%)や、「休職期間中の給与保障が困難」(48.9%)、「治療と仕事を両立するための制度が十分でない」(42.2%)、「治療のための休みを取りやすい体制確保が困難」(30.4%)といった回答をしている企業が多いようです。

 疾患の罹患者の「治療と仕事の両立」のための必要な支援としては、「罹患者が休業取得した場合の代替要員確保に対する助成」と「雇入れに対する助成」を必要だと回答する企業が約半数に上っています。

 また、健康保険組合等の保険者との連携状況(自社の従業員の健康状態に係るデータ活用など)について、「連携することがある」と答えた企業は30.3%で、「連携したことがない」企業は67.5%でした。正社員の雇用規模が大きいほど、連携することがある割合が高かったようです。

 過去3年間、該当疾患を罹患している社員の「いる」割合は、「糖尿病」25.2%、「がん」24.3%、「心疾患」10.7%、「脳血管疾患」8.3%、「難病」8.0%、「肝炎」4.6%で、やはり正社員が多いほど「いる」割合が高く、また、糖尿病と肝炎は通院治療が多く、「脳血管」と「がん」は「ほとんど休職を経て治療」と「ほとんど休職することなく通院で治療」する割合が高かったそうです。

 一方、厚生労働省が東京都内の上場企業に対する「病気と仕事の両立支援アンケート」を実施した結果、75.3%の企業が、概ね3年以内に「治療と仕事の両立」の支援を必要とする対象者が「いる」と回答しています。業種では建設業が8割強で最も高く、労働者10,000人規模の企業では100%に両立支援対象者がいました。そのうち、現在両立支援に取り組んでいる企業が5割で、取り組んでいない企業も「今後取り組むべきことと考えている」と6割弱が回答しました。

 両立支援の対象となる病気は、「メンタル不調」の割合が21.7%で最も高く、「がん」14.7%、「脳血管疾患」8.9%、「心疾患」7.5%、「難病」7.5%と続きました。「メンタル不調」が多いというのは気にかかります。

 両立支援について労働者研修を実施している企業は2割弱で、管理監督者研修を実施している企業は3割強、産業保健スタッフ研修の実施は2.5割ほどでした。また、相談窓口を設置している企業は8割強いました。

 両立支援に関する休暇制度の導入(または検討)は、時間「半日」単位の年次有給休暇と傷病休暇の両方を導入している企業が6割強で、両立支援に関する勤務制度の導入(または検討)は短時間勤務制度(65.3%)が最も多く、他にフレックスタイム・裁量労働制(51.4%)、試し出勤制度(41.1%)、時差出勤制度(40.3%)、在宅勤務(36.1%)と、多様な働き方が模索されていました。

 「治療と仕事の両立」支援の取り組み方が分からないという企業も2割弱存在しました。このような企業のため、厚生労働省労働局は「職場における治療と職業生活のためのガイドライン」を公表しています。治療が必要な疾病を抱える方々に対して適切な就業上の措置を行いつつ、治療に対する配慮が行われるように事業場における取組がまとめられています。職場における意識啓発の研修や、「治療と仕事の両立制度」や体制の整備などの環境整備、そして治療と職業生活の支援に留意すべき事項も掲載されています。

 それぞれの事業場で、上記ガイドライン等を参考に「治療と仕事の両立」ができる働き方の整備が急がれます。

(この項終わり)