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総合労働相談10年連続100万件超。トップは6年連続「いじめ・嫌がらせ」

2018.7.2

 この度、「平成29年度個別労働紛争解決制度の施行状況」が公表されました。「個別労働紛争解決制度」は、個々の労働者と事業主との間の労働条件や職場環境などをめぐるトラブルを未然に防止し、早期に解決を図るための制度です。

 そのため、都道府県労働局、各労働基準監督署内、駅近隣の建物など380ヶ所(平成30年4月1日現在)に、あらゆる労働問題に関する相談に対応するための総合労働相談コーナーを設置し、専門の相談員が対応する「総合労働相談」が実施されています。

 また、民事上の個別労働紛争について、都道府県労働局長が、紛争当事者に対して解決の方向を示すことにより、紛争当事者の自主的な解決を促す助言や指導も行われています。助言は、当事者の話し合いを促進するよう口頭、又は文書でおこなうものであり、指導は、当事者のいずれかに問題がある場合に問題点を指摘し、解決の方向性を文書で示すものです。

 そして、都道府県労働局に設置されている紛争調整委員会のあっせん委員(弁護士・大学教授など労働問題の専門家)が紛争当事者の間に入って話し合いを促進することにより、紛争の解決を図るあっせん制度もあります。

 今回公表された昨年の総合労働相談、あっせん申請の件数はいずれも前年度と比べ減少していましたが、助言・指導の申し出件数は増加していました。

 総合労働相談件数は110万4,758件で、10年連続で100万件を超え、高止まりをしています。そのうち民事上の個別労働紛争相談件数は、25万3,005件、助言・指導申出件数は9,185件、そしてあっせん申請件数が5,021件でした。

 民事上の個別労働紛争の相談件数、助言・指導の申出件数、あっせんの申請件数のすべてで「いじめ・嫌がらせ」が引き続きトップです。民事上の個別労働紛争の相談件数では、72,067件(前年比1.6%増)で6年連続トップでした。助言・指導の申出では、2,249件(同1,9%増)5年連続トップで、あっせんの申請では1,529件(同6.9%減)でも4年連続トップが続いています。

 助言・指導及びあっせんの事例としては次のようなものがありました。

 『申出人は、派遣労働者として勤務しているが、派遣先の上司から「ふざけてんじゃないぞ」や「お前はこの地域の恥だ」等の人格を否定するような暴言を日常的に受けた。派遣元は派遣先の仕事を多く請け負っているため、今後の契約のことを考えて嫌がらせをやめるよう派遣先に働きかけてくれない。今後も働き続けたいと考えているため、職場環境の改善を求めたいとして、助言・指導を申し出たもの』

 これに対して行われた助言・指導の内容と結果は次のようなものとなりました。

 『派遣先の事業主に対し、上司の行為はパワーハラスメントの提言で示されている類型(精神的な攻撃)に該当する可能性があることから、パワーハラスメントの有無についての調査し、必要な対応を行うことを助言した。

 助言に基づき、派遣先の事業主が調査を実施したところ、実際に上司による激しい言動があったことが判明したため指導が行われ、上司は今後申出人の人格を否定するような言動は行わないと反省し、パワーハラスメントは無くなった。また、派遣先事業場において、再発防止に向けた取り組みを行うと回答があった』

 労働紛争で「いじめ・嫌がらせ」が相談のトップとして10年も続いている事実は重く受け止めなければならないでしょう。調査などでは、いじめは無くならないと悲観的に答えている人も多いようです。働く環境づくりに労務管理上、なかなか改善されずに繰り返される根深い問題だと言えそうです。

 しかし、労働紛争は事業主と労働者の双方にとって好ましいものではありません。紛争が起きないように日ごろから労使間の意思疎通に努め、もし紛争が起きたてしまったら、迅速で実効性のある解決を図ることが求められます。

(この項終わり)