共同センターロゴ小今月の話題(2018年6月)

外国人技能実習生についての新しい「技能実習法」

2018.6.1

 日本で就労する外国人の数は増加の一途をたどっています。厚労省の発表「外国人雇用状況の届出状況」(29年10月1日現在)では、日本で働く外国人労働者は過去最高の128万人になりました。

 届出の対象は事業主に雇用されている外国人労働者です。特別永住者、在留資格(外交・公用)の者を除くと、その数は前年同期比で194,901人(18.6%)の増加となっています。128万人のうち、技能実習生は257,788人。前年比22.1%増で外国人労働者全体の20.2%に上ります。

 しかし、この外国人技能実習生実施機関に対して2016年に行った厚労省の監督指導状況では、5,672件の監督指導のうち70.6%に当たる4,004件は労働基準関係法令違反があったそうです。その主な違反事項は以下のようなものでした。

  1. 労働時間(全体の23.8%)
  2. 使用する機会に対して講ずべき措置などの安全基準(同19.3%)
  3. 割増賃金の支払い(同13.6%)

 このような状況を鑑み、法的権限を有する監督機関として「OTIT外国人技能実習機構」が2017年1月に設立され、同年11月「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」が施行されました。

 技能実習制度は、昭和57年1月、日本で培われた技能、技術又は知識の開発途上地域への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与することを目的として創設された制度です。ところが、制度の趣旨を理解しない法令違反が度々生じました。

 これに対し、入管法令による間接的な規制は限界があるとして、2017年11月に「技能実習法」が制定、施行されました。管理団体(事業協同組合・商工会等)の許可や技能実習計画の認定の仕組みを設け、受け入れ機関を直接規制するという技能実習の新たな枠組みを定めています。

 「技能実習法」には、技能実習制度が上記のような国際協力という制度の趣旨・目的に反して、日本国内の人手不足を補う安価な労働力の確保等として使われることのないように下記の基本理念が定められています。

  1. 技能等の適正な習得、習熟又は熟達のために整備され、かつ、技能実習生が技能実習に専念できるようにその保護を図る体制が確立された環境で行わなければならないこと
  2. 労働力の需給の調整の手段として行われてはならないこと

 しかし、昨年12月にはテレビ東京「ガイアの夜明け」で、ベトナムでの実習生送り出し機関関係者から、日本の管理団体が技能実習生一人の受け入れを決めるごとにキックバック等を要求している実態がある、との証言が報道されました。

 また、今年3月6日付の日本経済新聞の報道により、技能実習生として来日したベトナム人男性が、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う除染作業に従事していたことも明らかになりました。除染業務は、技能実習計画の認定基準における、技能実習法施行規則において、次の理由で技能実習の趣旨にそぐわないとして、申請されても認定されません。

  1. 除染業務は、一般的に海外で行われる業務でないこと
  2. 放射線被ばくへの対策が必要な環境は、技能習得のための実習に専念できる環境とは言い難いこと

 法務省・厚生労働省・外国人技能実習機構は、このような行為が明らかになった場合は、許可の取り消しや告発を含め厳しく対処するとしています。

 メディアでは、外国人技能実習生について、少子高齢化の人手不足を補うため、人件費の節約のために受け入れているなど良くない話題として取り上げられてきました。法整備によって、技術習得を目標に来日した外国人技能実習生の実態が改革・改善されることが期待されます。

(この項終わり)