共同センターロゴ小今月の話題(2017年10月)

厚生労働省の労働安全衛生調査から

2017.10.1

 日本の労働安全衛生の現状は、戦後一貫して労働災害による死傷者数や、業務上疾病者数が右肩下がりに減少してきました。しかし、この10〜20年近く、これらの減少の度合いが鈍化、或は止まっているという指摘があります。これは、安全衛生管理の仕方や安全衛生上に課題があるのでしょう。

 トヨタの元従業員だった方が、「トヨタ自動車は、労働安全活動から問題提起をして『カイゼン』に結び付けました。安全活動は、災害をなくすためだけの活動ではなく、強い現場づくりにつながらなくては受け入れられません」また、「全ての仕事領域にアプローチしていける唯一の仕事領域が、安全衛生だと思います」と話されています。

 労動災害が発生した場合、当事者の状況だけでなく、労働現場全体を見直すことで、強い現場づくりに必要な情報が得られるということではないでしょうか。

 トヨタの考え方は、「労働安全衛生」が、単に労働時間や労働災害・過労死問題以上の意味で、仕事領域のカイゼンにつながる重要な労務管理であることを教えてくれます。

 リスクアセスメントという手法があります。情報を集めて労働者の安全衛生に関する危険・有害要因を特定し、そのリスクを見積もり、かつ、評価することによって、当該リスクが許容範囲か否かを判断し、リスクの大きいものから順にそのリスクを低減させていくというものです。

 厚生労働省が実施した平成28年労働安全衛生調査によると、リスクアセスメントを実施している事業所が46.5%あり、メンタルヘルス対策に取り組んでいる割合は56.6%の事業所にみられました。そして、受動喫煙防止対策に取り組む事業所は85.5%に上っています。

 反対に、現在の自分の仕事や職業生活に関し、強い不安、悩み、ストレスとなっていると感じることがある労働者は59.5%と、6割近くの方が働きながら何らかのストレスを感じています。

 また、ストレスとなって感じる事柄は「仕事の質・量」が最も多く、半数以上が「仕事の量・質」がストレスだと感じています。

 職場で他の人のたばこの煙を吸引すること(受動喫煙)がある労働者は34.7%いました。そのうち、不快に感じること、体調が悪くなることがある方は37.1%、10人に1人はたばこの被害を被っています。

 事業場でアンテナを張り、細やかな情報をキャッチし、事業者の義務を果たすと共に、職場全体に気づきを与える労働環境の改善が、それぞれの仕事の領域(仕事の質や量の見直しへの気づき)までつながります。労働者の安全が優先され、健康を害する要因がひとつずつ確実に解決され、改善されていくことが望まれます。

(この項終わり)