共同センターロゴ小今月の話題(2017年8月)

4人に1人の労働時間が正確に把握されていません

2017.8.3

 労働時間の多様化とともに、フレックスタイムなど様々な働き方が広がっています。一方で、正社員を中心として長時間労働は依然として大きな課題です。また、割増賃金の未払いや過重労働といった問題の背景として、労働時間が適切に管理されていない問題が指摘されています。

 東京都産業労働局ではこうした状況下で、労働時間やその管理状況、また使用者や労働者の認識把握のため、都内常用従業者30人以上の3000事業所及びそこで働く正社員の方を対象に調査を実施しました。

 労働時間の把握状況については74.1%の従業員が「正確に把握」していると回答する一方で16.9%が「会社の把握している労働時間は、実際よりも短い」と回答しています。「会社の把握している労働時間は、実際よりも長い」は5.9%ありました。

 労働時間の管理方法は、「タイムカード・ICカード等」62.2%が最も多く、次いで「自己申告」が19.9%、「上司が確認・記録」が10.6%となっています。

 管理方法別の労働時間把握の状況については、「自己申告」により管理されている従業員の26.5%が「会社の把握している労働時間は、実際よりも短い」と回答しており、他の方法に比べて最多です。これは自己申告する際に、従業員が時間外労働時間を少なく申告しているか、管理者が時間外労働時間を認めないサービス残業の存在の疑いがあります。

事業所における最長の時間外労働時間数(平成28年9月実績)は、限度時間の月45時間以上と回答した事業所は38.4%、うち過労死ラインの月80時間以上の事業所は13.2%もありました。

 平成28年度の労災補償申請では、年々過重労働での過労死や自殺の申請数が増加しています。連合の6月の調査で時間外労働を減らす取り組みを聞いたところ「何も行われていない」が46.6%、「ノー残業ディーの導入」30.5%、「残業の事前申請制度の導入」15.4%、「上司からの声かけ」13.5%の回答が得られているそうです。

 時間外労働に関する労使協定(36協定)は、91.5%の事業所が締結しています。しかし、36協定の認知度については、「締結している内容を知っている」が58.2%を占め、一方、「締結しているがその内容はよく知らない」18.9%や、「内容がわからない」19.2%といった36協定について認知されていないと思われる回答が4割を占めていました。

 従業員が今後適用を希望する労働時間制度については、「週休3日制」51.6%が最も多く、次いで「フレックスタイム制」41.0%となっています。

 事業所がすでに導入もしくは今後導入する考えがある制度は、「フレックスタイム制」28.6%と最も多く、次いで「短時間正社員制度」28.1%でした。一方、「週休3日制度」は4.8%で、従業員が希望する働き方と使用者側の働かせ方には大きな差があるようです。

 平成28年12月、政府は「過労死等ゼロ緊急対策」で違法な長時間労働を許さない取り組みの強化として、「36協定未締結事業場に対する監督指導の徹底」が盛り込んでいます。違法な長時間労働は、脳・血管障害などの発症や過労死、従業員のメンタルヘルス不調の原因ともなり、職場全体でワークライフバランスやメンタルヘルスに対する意識を共有することが重要だといえます。

参考:36協定とは

労働基準法36条に基づく労使協定で「さぶろくきょうてい」と呼ばれることが多い。会社が法定労働時間(1日8時間かつ1週40時間)を超えて時間外労働させる場合には、あらかじめ労働組合がある場合は労働組合、無ければ従業員の過半数を代表する者と書面による協定を事業所単位で締結し、所轄の労働基準監督署長に届け出る。 つまり、残業を行うには所轄の労働基準監督署に協定書を提出していなければなりません。

(この項終わり)