共同センターロゴ小今月の話題(2017年5月)

OECDの「対日経済審査報告書」

2017.5.4

 OECD(経済共同開発機構)は、最新の「対日経済審査報告書」で、日本経済は活性化して雇用が創出され、近年の1人当たりの成長率は他のOECD諸国に匹敵しており、日本経済は回復してきていると発表しました。

 しかし、その一方で、日本の高い政府債務残高と労働力の減少が問題となる中、将来的な経済の繁栄と暮らしよさを維持するには、さらなる仕組みが必要とし、改革を優先的に行うべき分野を明らかにしています。

 その中には、労働参加率を高める取り組みの強化、「正規」雇用、特に女性の雇用をさらに創出すること、生産性の向上、国家財政を持続可能な軌道に乗せることなどが含まれています。

 4月13日から17日まで来日したアンヘル・グリアOECD事務総長は、「日本の人口問題と財政問題に対処するには、特にOECD諸国に遅れをとっている生産性を向上させる取り組みを強化し、改革を一層進める必要がある。労働市場では、女性の雇用機会を拡大すべきである」と述べています。人口高齢化による労働力不足という課題を抱える中で、日本は女性の雇用の妨げとなるものを、特に妥当な価格で利用できる保育を増やし、残業時間を制限して長時間労働の慣行を変え取り除くことが必要だとも述べています。

 また、報告書では、労働市場の二重性(「正規」労働者と「非正規」労働者との区分があり、福祉手当、給与、雇用保護などの水準が異なっていること)の解消は、経済を大きく育てるのに必要、かつ推進するカギを握っているとまで指摘しています。

 一方、日本の政府債務については、人口の高齢化による医療費と年金支出が増加し続けることで政府債務はさらに押し上げられ、2016年にはGDPの219%と、OECD諸国が過去に経験したことのない高水準に達していることにも言及しています。具体的で確かな財政計画として特に、消費税率の段階的引き上げと、環境税増税による歳入増加を提言しています。

 働き方改革を掲げる政府にとって、報告書の指摘や提言が、サービス残業の削減や拘束力のある残業時間の上限設定、また、女性や高齢者の活用などの政策を一層推し進める後押しとなるよう望まれます。

(この項終わり)