1日で「長時間・過重労働」に関する相談が340件
2016.12.3
11月の「過重労働解消キャンペーン」の一環として11月6日(日曜日)に実施した「過重労働解消相談ダイヤル」の相談結果を厚労省が公表しています。今回の無料電話相談には、1日で、合計で712件の相談があったそうです。その相談内容は「長時間労働・過重労働」に関するものが340件(47.7%)と一番多く、次いで「賃金不払い残業」が305件(42.8%)で、長時間・過重労働に関する相談が9割を占めていました。
寄せられた相談のうち、1か月の残業が80時間を超えている、残業代が一切支払われないなど、特に深刻と思われる事例を紹介します。
長時間過重労働について
- 不動産会社の営業(金融・広告業)
- 器械部品製造会社の総務(製造業)
- 商社の営業(商業)
- 金属製品製造会社の管理者(製造業)
定時前に3時間、定時後に6時間程度の残業をしており、月の残業時間が200時間を超えている。終電がない場合は自腹でホテルに泊まることもある。労働時間は自己申告により管理されているが、36協定で定める時間を超えてしまった場合は、上司が労働時間を書き直している。(40代労働者)
人員不足のため、毎日7時間程度の残業を行っており、月100時間を超える残業を行っている。労働時間は自己申告により管理しており、パソコンに入力していたが、上司が自分のチームの残業削減を業績目標としているため、残業が少なくなるよう改ざんしている。(50代労働者)
普段から1日4時間程度の残業がある。また、休日である土曜日に会議が開催されることもあり、月80時間程度の残業を行っている。しかし、会社は36協定を締結していない。(30代労働者)
管理監督者として働いているが、部下の残業時間を36協定の範囲内に収めるため、月160時間を超える残業を行っている。管理監督者なので、基本給以外に管理職手当しか支払われていない。管理監督者になる前は、タイムカードで労働時間が管理されていたが、今は何も管理されていない。(30代労働者の家族)
賃金不払い残業について
- 建設会社の作業員(建設業)
- 教育機関の事務員(教育・研究業)
- 商社の総務(商社の総務)
- 医療機関の事務(保健衛生業)
日給制で働いているが、入社当初から「残業代は出ない」と言われてきた。実際に現場で作業したところ、直近では夜中の3時まで残業を行ったが、本当に残業代が支払われなかった。(40代、労働者の家族)
普段から残業しているが残業代は支払われない。休日出勤の振り替休日も取得できない。労働時間は管理されておらず、出勤簿に押印するだけである。そもそも、残業の申請方法が周知されておらず、会社がどのような方法で残業を把握して残業代を支払っているかわからない。(年齢不詳、労働者)
会社の方針として人件費を抑えることになっており、残業の申請も実際よりも少なく書くよう言われている。繁忙期は定時前の早朝から出勤し、仕事をしているが、誰も残業の申請をしていない。休日出勤も同様である。これだけ申請を押さえているにもかかわらず、申請の半分程度の残業代しか支払われない。(50代、労働者)
入社時に「残業を指示した時間以外は残業代を支払わない」と説明を受けた。実際に勤務したところ、毎日3時間程度の残業があり、時間外に勉強会や会議が設定されるが、残業代は毎月定額で1万円しか支払われない。労働時間はタイムカードで管理することになっているが、仕事が終わっていない人の分も含めて、誰かが停時過ぎに全員分をまとめて打刻している。(20代、労働者)
休日・休暇について
- 印刷会社の営業(製造業)
- 工場の作業員(製造業)
- 金属製品製造会社の総務(製造業)
休日は月8日となっているが、休日出勤も多く、代休が溜まっていく。会社全体として、溜まった代休の消化ができていない。このような状況のため、有給休暇を申請しても「代休が消化できていないのであれば、有給休暇をあたえることができない」と取得を拒否される。(20代、労働者)
有給休暇は発生してから2年以内であれば取得できるはずが、就業規則で1年以内(当年)しか取得できないと定められている。また、有給休暇の取得を会社に請求する際には、上司に理由を言って認めてもらう必要がある。(50代、労働者)
フルタイムの非正規労働者として働いている。正社員は法律どおりの有給休暇が発生するが、非正規労働者は年に3日しか発生しないことになっている。社長に抗議した者もいるが、「嫌だったらやめろ」と言われて取り合ってもらえなかった。(40代、労働者)
上記の相談に対して、次のような対応がなされたそうです。
- 相談者に労働基準法や関係法令の規定、解釈について説明
- 相談者の意向も踏まえ、管轄の労働基準監督署や関係機関を紹介
こうした対応で、相談者が関係機関に訴えるかどうかはわかりません。しかし、労働基準法などの違反が疑われる事業場の情報をメールすることができます。受け付けた情報に関する紹介や相談には応じていませんが、何もしないで泣き寝入りせずに、現場の情報を監督機関に提供することも労働条件改善に繋げる方法です。あきらめずに行動することが望まれます。
◎労働基準関係情報メール窓口
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/mail_madoguchi.html
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(この項終わり)