共同センターロゴ小今月の話題(2016年11月)

高額薬剤の公定価格見直し

2016.11.4

 厚生労働省は、超高額の薬の公定価格(薬価)を、必要に応じて下げられる仕組みを導入することにしました。2014年に発売された「オプジーボ」という薬を1年間使うと、一人の患者に3000万円かかります。オプジーボは、英国では日本の約2割、米国では4〜5割の価格で販売されており、海外と比較して薬価が高すぎる場合に、値下げできるようにします。これにより、医療費の膨張を抑える狙いがあります。

 日本では、オプジーボを最初に保険適用したのが希少ガンで、治療対象者も少なかったため、製薬会社への業績に見合う高額な薬価が設定されました。しかし、患者数の多い肺がんにも効果があることがわかると投薬対象が増加しました。そのため、2年に1度の薬価改定では間に合わず、同じ価格で保険適用された結果、医療費が膨らんでしまったのです。

 現在、日本には「高額療養制度」があり、医療費の最大自己負担は月、10万円程度です。薬剤が月50万円でも300万円掛かっても、患者の支出に違いが出ない仕組みです。高額薬剤の費用を、国や国民が税金でどこまで負担すべきなのかを考えなくてはなりません。

 この議論になると、医療費が高騰しているのだから高齢者は遠慮すべき、という意見があります。しかし、自分の親、もしくは自分が高齢化してから同じ治療が受けたいとなったとき、全額を自己負担する覚悟はあるのでしょうか。

 高額薬剤の保険適用は、最終的に人間の命の在り方と国民負担に直結する問題です。新薬の費用対効果、高薬価に見合った効果を発揮するかどうかの検証も不可欠です。効果のないがん患者にまで投与したり、患者も家族も「新薬を使いたい」と安易に医師に求めていないかなど、医療費の無駄についても議論が望まれます。

(この項終わり)