年金受給者の現況確認と結果と差止め等の状況(年金問題を考えるその16)
2016.2.1
日本年金機構では、年金の支給を適正に行うため、年金受給者約3950万人の約99.6%の方が健在であることについて、住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)の情報等により確認しています。
一方で、住基ネットの情報を利用できない年金受給者の健在化については、毎年「現況届」の提出で確認されています。年金受給者が施設に入所していることなどにより日本年金機構が管理している年金受給者の基本情報(氏名・生年月日・性別・住所)が住基ネットの基本情報と異なる方については、住民票コードを把握できず、住基ネットによる生存確認は行えないそうです。
「現況届」により確認している方について、平成25年8月に、住民票上は死亡しているにもかかわらず、親族によって健在である旨の現況届の提出がなされ、年金の不正受給が行われていた事案が発生したことを踏まえ、厚生労働省では、年金の支払いを適正に行うため、「現況届」により生存確認している75歳以上の年金受給者について、昨年2月から健在等の確認を行ってきたそうです。
確認結果
確認した約17万人のうち、平成26年2月1日現在75歳以上、市町村が介護保険等で確認した健在の方、7,207人に対し生存確認したところ、6885人は健在、死亡233人、行方不明89人と確認されました。
差止め等の状況
死亡又は行方不明が確認された322人については平成27年8月定期支払までに、順次差止めを行い現在給付は行っていません。差止めした方の年金月額は、平均94,000円(最高29万円最低2千円)でした。
過払いへの対応
死亡判明により年金の過払いが判明した場合は、債務者に対し、年次年金の返還手続きを進めています。また、不正受給の可能性が疑われる場合は、関係官署と協議しつつ、悪質と判断されるケースについては被害届の提出等の対応も順次行っているそうです。
今後の取り組み
現況届により、生存確認している年金受給者については、引き続き住民コードの収録を進めることにより住基ネットによる生存確認への切り替えを進めるそうです。また、平成28年度には、現況届による生存確認を行うに際し、住民票の添付を求め、届出がない場合は必要に応じて年金の差止めを含めて対応されます。
(この項終わり)