共同センターロゴ小今月の話題(2015年12月)

ニコチン依存症、若者の治療も保険適用?

2015.12.1

 厚生労働省は、将来の医療費削減に繋がるとして、ニコチン依存症の治療について、公的医療保険が適用されていない20代の患者も保険の対象に含めることを提案しました。しかし、負担が増える保険の支払い側は反対しています。

 たばこを吸っている人が、たばこのニコチンが切れるとイライラしてタバコが吸いたくなる状態を、ニコチン依存といいます。「吸うつもりより、ずっと多くたばこを吸ってしまったことがあるか」といった10の質問のうち、五つに当てはまると、ニコチン依存症と診断されます。

 2006年から保険で診療が受けられるようになっていますが、保険対象は1日の喫煙本数と喫煙年数をかけた指標が200以上の患者に限られています。1日40本吸う人でも5年以上たたないと保険が適用されない計算で、厚労省によると20代の依存症患者の約8割が対象外になります。保険が適用されれば、原則的に治療費の3割の自己負担で治療を受けられます。

 厚労省は、同省の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医療)で、この指標を緩めて20代も治療を受けやすくすることを提案しました。日本医師会の中川俊雄副会長も、「意志の強くない人も沢山いる。将来の医療費削減を考えれば、むしろ推奨すべきだ」と、その提案の後押しをしたそうです。

 一方、大企業の会社員らが入る健康保険組合代表の委員は、「自己責任で禁煙する人も沢山いる。保険財政が厳しい時に、何でこんなものに保険を使うのか」と反発しました。医療保険は予防接種や健康診断といった予防行為には原則として適用されません。

 厚労省の11年度の調査では、20代の喫煙率は男性36,3%、女性は12,7%で、それぞれ全体の32,2%、8,2%より高いことが分かります。ある調査で喫煙者の約7割がニコチン依存症と指摘されています。2011年の総務省の人口推計から試算すると、20代の喫煙依存症患者は男性176万人、女性喫煙依存症患者が約59万人となります。

 来年2月までには結論が出る見込みとのことですが、それにしてもなぜ依存症患者を生み出すことがはっきりしているたばこを、製造し販売し続けるのか、この点に政治の目が向かない事に今更ながら驚かされます。

(この項終わり)