共同センターロゴ小今月の話題(2014年6月)

深刻化する中小企業の「事業承継」「廃業」問題

2014.6.5

 このほど、政府が閣議決定した中小企業白書(2014年度版)が、中小企業の経営者の高齢化と後継者不足が深刻化している状況を明らかにしました。

 また、近年、起業を希望する人を示す「起業希望者」の数が160万人台から80万人台に半減し、急激に減少している一方、起業家数は大きく変化しておらず、毎年20〜30万人の起業家が誕生していることがわかりました。それでも開業率は欧米諸国の半分、またはそれ以下となっています。

 事業承継の形態は、内部昇格や外部からの招聘等、親族以外の第三者への承継割合が増加しているようです。

 後継者の育成期間には「3年以上必要」と考えている経営者は8割以上に上りましたが、「経営者の年齢別事業承継の準備状況」を見ると、60代で約6割、70代で約5割、80代で約4割が、後継者がいないなど事業を引き継ぐ準備ができていないことがわかりました。

 近年、休廃業・解散の件数も増加していますが、廃業を決断した理由として最も多かったのが、「経営者の高齢化、健康(体力・気力)の問題」(48.3%)であり、以下、「事業の先行きに対する不安」(12.5%)、「主要な販売先との取引終了(相手方の倒産、移転のケース含む)」(7.8%)が続いています。

 これらの結果を受けて、政府は、第三者への承継支援策と廃業対策を進めていくとしています。

 第三者への承継の支援策としては、外部に後継者を求める中小企業・小規模事業者に配慮し、高い事業意欲のある人材を確保し、後継者ニーズのある企業とマッチングさせるとともに、長期的にフォローアップしていくとしています。

 廃業対策としては、(1)廃業に関する基本的な情報提供、(2)匿名性に配慮した専門家支援(電話相談)、(3)小規模企業共済制度のさらなる普及・拡大を図るとしています。

 このような対策が、経営者の意識や準備状況を整える具体的な支援となるには、都道府県はもとより市区町村や中小企業支援機関向けの施策説明会の実施など、環境を整える十分な配慮が望まれます。

(この項終わり)