共同センターロゴ小今月の話題(2013年8月)

年金問題を考える その12

2013.8.1

 2013年6月19日の参議院本会議で、「公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案」が成立しました。これにより公的年金制度についての改革が図られることとなりましたが、与野党協議の末、施行日から10年以内に厚生年金基金制度の廃止を検討することになりました。

 厚生年金基金制度とは独自の企業年金と、厚生年金の一部を国に代わって支給する代行部分を一体で運用する仕組みです。しかし、運用難から代行部分に大きな穴をあけてしまい預かった資金を国に返せない事態が起きていました。特に、AIJ投資顧問による年金消失事件がきっかけとなり表面化した厚生年金基金の財政難は、大きな問題となっていました。

 公的年金制度の健全性、信頼性の確保を図るための措置とはいえ、民主党の主張を取り入れたり、与野党が合意できるまで修正を繰り返し、以下のように複雑な概要となりました。

法案の内容

1.厚生年金基金制度の見直し(厚生年金保険法の一部改正)

  1. 施行日以後は厚生年金基金の新設は認めない
  2. 施行日から5年間の時限措置として特例解散制度を見直し、分割納付における事業所間の連帯債務を外すなど、基金の解散時に国に納付する最低責任準備金の納付期限・納付方法の特例を設ける
  3. 施行日から5年以降は、代行資産保全の観点から設定した基準を満たさない基金については、厚生労働大臣が第三者委員会の意見を聴いて、解散命令を発動できる
  4. 上乗せ給付の受給権保全を支援するため、厚生年金基金から他の企業年金等への積立金の移行について特例を設ける
  • 1の施行日は、公布日から1年を超えない範囲で政令に定める日

 財政状況が特に深刻な基金は5年以内に解散、母体企業に代行部分を返還させ、それ以外の基金も基準を下回れば、厚生労働相が解散命令を出せることになりました。約560ある基金のほぼ9割が廃止となる見通しです。

2.第3号被保険者の記録不整合問題への対応(国民年金法の一部改正)

 保険料納付実績に応じて給付するという社会保険の原則に沿って対応するため、以下の措置を講じる。

  1. 年金受給者の生活の安定にも一定の配慮を行った上で、不整合記録に基づく年金額を正しい年金額に訂正
  2. 不整合期間を「カラ期間」(年金額には反映しないが受給資格期間としてカウント)扱いとし、無年金となることを防止
  3. 過去10年間の不整合期間の特例追納を可能とし、年金額を回復する機会を提供「3年間の時限措置」(サラリーマン(第2号被保険者)の被扶養配偶者である第3号被保険者(専業主婦)が、第2号被保険者の離職などにより、実態としては第1号被保険者となったにもかかわらず、必要な届け出を行わなかったために、年金記録上は第3号被保険者のままとなっていて、不整合が生じている問題)
  • 2の施行日は、公布日から1か月を超えない範囲で政令で定める日
  • 2-3は施行から1年9か月以内、2-1は施行日から4年9か月以内

 夫の転職で、国民年金への変更手続きをしてこなかった専業主婦は、切り替えを怠っていた期間は国民年金保険料が未納です。そこで今回、未納期間を加入していたものとして扱い、2015年から3年間に限り過去10年間にさかのぼって未納期間の保険料を納めることができるのです。

3.その他(国民年金法等の一部を改正する法律等の一部改正)

 障害・遺族年金の支給要件の特例措置及び国民年金保険料の若年者納付猶予制度の期限を10年間延長する。

 2006年4月1日より障害厚生年金、遺族基礎年金及び遺族厚生年金について、直近1年間に保険料未納がないときには、保険料未納要件を満たしているとする特例が2016年4月1日までとされていました。今改正により、10年間延長され、2026年4月1日までとすることとされました。また、30歳未満の第1号被保険者の保険料納付を免除する若年者納付猶予制度につき、2015年6月までの時限措置も10年間延長され、2025年6月までとされました。

(この項終わり)