「中途採用」を成功させるためには何が必要か?
2012.12.2
自社で中途採用をするなら、自社の理念やスタンスに共感でき、他の社員と同じ価値観を共有できる人を求めるのは、ごく一般的な発想です。しかし、この競争の厳しい時代を生き抜くには、どのような人材が必要か、人材ニーズのコンセプトを明確にし、そのコンセプトに沿った採用基準を具体的に設定しておく必要がありそうです。
株式会社アイデムの研究部門「アイデム人と仕事研究所」が、正社員の中途採用に関する実態調査を行いました。この調査は、直近1年間に正社員の中途採用面接を行った企業を対象に行われ、1010社が回答しています。
調査では、自社内の採用ビジョンについて、「求める人材像が確立されている」が60.1%(「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計)あった一方で、37%が「確立されていない」と回答しています。
また、求める人材像が確立されている企業において、採用に関わる社員の間でその人材像が「共有されている」と回答したのは25.2%、「どちらかといえば共有されている」と回答したのは57.2%でした。
さらに、面接で「自社の求める人材を見抜けている」と回答した企業は55.8%で、見抜けている企業ほど、求める人材像が明確であった、という比例関係があることがわかったそうです。
逆に言えば、求める人材像があやふやであったり、採用担当者に共有されていなかったりすれば、自社の求める人材を採用するのは難しいということになります。
求める人材像が確立されていない、あるいは確立されていても共有できていない原因はどこにあるのでしょうか? 原因を考えていくと、「『経営戦略』が明確か」が重要であると考えられます。
つまり、
- 経営戦略が明確になっている
- 人材評価の方針(人事考課制度)が明確である
- 評価方針が社員間で共有・合意されている(規定化・研修による理解)
といったものが充分に遂行されて初めて、会社としてのビジョンが定まり、共有されるということになります。その結果、自社がどのような採用基準でどのような人材を求めているのか、ということが明確になるのです。
採用するにあたっては、
- 自社の要求に合った、欲しい人材に合わせた採用方法を工夫し、考える。
- 日常の活動の中で採用候補者を探す。
- 欲しい人材を採用するために、自社の魅力をわかりやすく伝える。
- 将来の人員構成を考慮して、計画的な採用を行う。
特に優秀な中小企業では、どこからともなく評判を聞きつけて思わぬ人を採用できるチャンスに恵まれたという例もあるそうです。
技能継承を考える会社の場合は、1人採用予定のところ頑張って2人採用したところ、新人同士が励まし合って定着を高めることは知られるところです。
などを念頭に置くことが望ましいでしょう。
採用担当者のスキルアップも重要ですが、「良い人材が入ってこない」と感じる場合には、一度、人事制度について考えてみてはいかがでしょうか。
(この項終わり)