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「65歳まで定年延長」高年齢者雇用安定法が改正

2012.9.1

  60歳の定年後も希望者全員を雇用することを企業に義務付ける改正高年齢者雇用安定法が29日、参議院本会議で可決・成立しました。来年4月から厚生年金の受給開始年齢が引き上げられるのに対応し、定年を迎えた後に年金も給料も受け取れない「空白期間」が発生するのを防ぐ狙いがあります。2025年度には65歳までの雇用が義務となります。

 現行法と改正法の主な違いは以下のとおりです。

【現行法】

  1. 対象者は能力、勤務態度等の労使協定で定めた条件を充足する者
  2. 雇入れ企業は定年を迎えた会社とその子会社
  3. 違反した場合は勧告措置 

【改正法】

  1. 対象者は原則全員。今後除外事由(心身の健康状態が悪い場合等)を決定
  2. 雇入れ企業は定年を迎えた会社とその子会社に加え、グループ企業
  3. 指導や助言に従わない場合には企業名を公表

 この中で、企業にとっても最も懸念されるのが「対象者は原則全員」という点です。現在も多くの企業(約10万9000社)は継続雇用制度を定めていますが、その半分以上の企業は対象者を労使協定で定めた基準により選別しています。健康状態や出勤率・勤務態度のほか、業績評価も基準としています。厚労省としても、企業の負担を勘案して除外事由を定める方針ですが、その適用次第では「抜け穴」として利用されかねず、本改正法が適正に運用されるのか疑問が残ります。

 では、企業としてはどのような形で高齢者を円滑に雇用すれば良いのでしょうか。現行法の下では、年単位の期間雇用契約制度を導入している企業が数多く存在します。また、昔と同じ仕事をかつての後輩を上司にして続ける、というのは感情的にも難しいところがあることから、継続雇用者に若手の指導役を任せるという制度を導入し、効果を挙げている企業もあるようです。一方で、そもそも体力が物を言う業界(例えば運送業界等)では、高齢者の労働継続が現実問題として難しい為、業界内での雇用確保は困難ではないかと懸念されています。

 そのうえに、年金の受給年齢の引き上げに伴い、継続雇用を希望する人はこれまでに比べ激増することが予想されます。それに伴い企業の人件費も押し上げられることになり、賃金体系の見直しも必要になってきます。

 現在は一旦定年退職した上で、低めの賃金で再雇用するというやり方一般的でした。今後更に高齢(将来的には70歳?)までの雇用を見据えた社会づくりが行われるのであれば、若年層の雇用抑制では本質的な解決策とはなりません。相対的に賃金の高い4、50代についても雇用基準の見直しが必要になってくるのではないでしょうか。

  この法改正を機に、年齢ではなく仕事の中身によって賃金が決定するような、労働の対価についての公正性が求められるでしょう。

(この項終わり)