共同センターロゴ小今月の話題(2012年5月)

厚生労働省が「在宅勤務での適正な労働時間管理の手引」を公開

2012.5.3

 厚生労働省は今年の3月、これからから在宅勤務を導入しようとしている企業の管理者、人事労務担当者向けに、労働時間管理に関する分かりやすい手引を作成しています。在宅勤務は、職住近接の実現による通勤負担の軽減に加え、多様な働き方の選択肢を拡大するものとして、また、最近は災害時の事業継続性確保の観点からも関心を集めています。

 在宅勤務とは、「事業主と雇用関係にある労働者が、労働時間の全部または一部について、自宅で情報通信機器を用いて行う勤務形態」をいいます。事業所内で勤務する場合と同様に労働基準法、最低賃金法などの労働基準関係法令が適用される働き方です。そして、在宅勤務の特徴は、(1)労働者の私生活に使用者がむやみに介入すべきでない自宅を仕事場所としていること。(2)労働者の仕事、日常生活それぞれの時間が混在せざるを得ない働き方であることです。

 在宅勤務のメリットとしては、大規模地震でオフィスが機能しない事態が発生したり、新型インフルエンザなどの流行性疾患で外出が制限された場合などに、事業の継続性の確保の観点から有効です。また、オフィスの節電対策の一環とも考えられますし、一人で集中した仕事ができる環境でもあります。

 この手引には、在宅勤務特有の適正な労働時間管理について、以下のようなチェックポイントが上げられています。

  • 仕事場所が自宅と言う理由だけで、労働基準法上の「事業場外労働によるみなし労働時間制」を適用するなど、不適切な労働時間管理をしていないか。
  • 在宅勤務者が、一人静かになれる夜遅くに仕事をしていないか。
  • 在宅勤務者が、職場にいる同僚や上司の評価を気にして、遅くまで仕事を続けていないか。
  • 在宅勤務者に不急の打ち合わせ・会議や電話を頻繁に入れ、計画的、効率的な仕事の進め方を阻害していないか。

 一方、在宅勤務の労働基準法上の労働時間の留意点は次の通りです。

  1. 労働基準法上の労働時間に該当するか否かは、客観的に判断される。就業規則や労働契約等に基づく規定上の時間だけで判断されるものではない。
  2. 指揮命令には、明示的なものだけでなく、黙示的なものも含む。
  3. 労働者が現に精神または肉体を活動させている時間だけではない。いわゆる手待時間も労働基準法上の労働時間になる。

 その他にも在宅勤務の労働時間管理については、「在宅勤務ガイドライン」で規定されています。ガイドラインでは、労働契約の締結に際し、労働者に書面に就業の場所として、労働者の自宅を明示しなければなりません。また、健康診断、安全教育を行う必要があります。そして、在宅勤務中に業務が原因で生じた災害は、労災保険の保険給付の対象となります。(自宅における私的行為が原因であるものは、業務上の災害とはなりません)。また、在宅勤務に必要な通信費や情報通信機器などの費用負担については、あらかじめ労使で十分に話し合い、就業規則に定めておくことが望まれます。

 在宅勤務を適切に導入・実施するに当たっては、労使で認識の食い違いのないように、あらかじめ、導入の目的、対象となる業務、労働者の範囲、在宅勤務の方法などについて、労使委員会等の場で十分に納得行くまで協議し、文書にし、保存するなどの手続きを踏むことが求められます。また、在宅勤務制度を導入した場合には、実際に在宅勤務をするかどうかは本人の意思によるべきです。

 詳しくは厚生労働省労働基準局労働条件政策課の「在宅勤務での適正な労働時間管理の手引」「在宅勤務ガイドライン」を参照してください。

厚生労働省のホームページ

(下記のアドレスをクリックすると新しいウインドー/タブでページを開きます)

  1. 在宅勤務での適正な労働時間管理の手引
  2. http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/leaflet_jouken.html
    (ページ下方でPDFファイルを入手できます)

  3. 労働基準情報:在宅勤務ガイドライン
  4. http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/guideline.html
    (ページ内の「パンフレット」でPDFファイルを入手できます)

(この項終わり)