共同センターロゴ小今月の話題(2012年1月)

女性管理職を育成する「メンター制度」の活用

2012.1.9

 相談できる目上の人がいるかどうかは、長い会社員人生にとって大きな影響を与えます。

 この相談役のことを「メンター」と呼びますが、このメンターを活用した制度が、女性管理職育成のために改めて注目されています。メンター制度は1990年代後半から米国系企業を中心に広まりましたが、ここ数年、女性社員の育成に力を入れる日本の企業が注目しています。

 メンターとは、相談者に対して自分の人生経験をもとにキャリア形成の助言を行い、精神的な支柱となる人を指します。人事評価を行う直接の上司とは異なり、「斜め上」の立場から支援を行います。一般的に、相談者の希望を聞きながら会社の人事部等がメンターの紹介を行い、面談は月1回1時間ほど、半年から1年で区切るといったケースが多いようです。

 キリンビールでは、部長職になる前の女性社員を対象に役員が仕事のノウハウを伝え、また相談相手にもなる「メンター制度」を導入しています。女性社員が自身の将来像を描くのを支援することで、キャリア・アップを促すとともに、仕事上の悩みなどによる退職も防ぐなどを目的としています。役員5人が女性社員10人のメンターとなり、半年間、月1〜2回程度のペースで面談を開き、日々の業務で直面する問題などについてアドバイスするほか、幹部の仕事の在り方や、自身がどのような経験を積んできたかなどを話すそうです。

 しかし、日本の企業では、経営幹部の中心が男性であることが多く、女性管理職が社内で心を許せる相談相手を見つけることは難しいとも言われています。本来はメンターとなる人も女性である方が良いと言われていますが、男性メンターだと、女性であるが故の悩みなどを同じ視点でアドバイスできるかどうかが難しいとも指摘されています。

 それでもある大手企業では、男性役員から女性管理職、女性管理職から女性総合職といったような「メンターチェーン制」というものを採用し、男性役員からは、取引先との接し方などを教えられ、「目標が高まり、今後のキャリアプランが見えてきた」と話す女性管理職もいるとのことです。

 日本企業の人事担当者から、メンター制度の活用で女性管理職を育てるには、「女性の課題を理解する男性メンターは限られる」「相談側の問題意識が明確でないと続かない」。また、「単なる悩み相談で終わらないように、キャリア相談か昇進支援か、といった目的を明確にする必要がある」という指摘も聞こえてきます。

 この指摘にどう対応するのかには、女性管理職育成のメンター制度を導入した企業の成果を伺うなどしながら、今後の参考にしたいものです。

(この項終わり)