共同センターロゴ小今月の話題(2011年12月)

当日の朝の有休休暇の申し出は有効でしょうか?

2011.12.5

 年次有給休暇を取得する時、遅くとも取得日の前日の就業時刻までに、労働者から申し出ることが一般的でしょう。しかし、もしも当日の朝に、労働者から有休の請求があった際には、会社はどう対応すればよいのでしょうか。

 年次有給休暇は労働基準法代39条に定めがあり、8割の出勤率など一定の要件を満たすと勤続年数に応じて所定の日数が付与されることになっています。年休の付与単位にについては、基本的には1日単位で与えることになっています。この1日とは暦日で計算されることになっているため、午前0時から24時までの24時間がその単位となります。つまり、始業時刻から年休が始るのではなく、その日の午前0時から休暇が始っています。

 一方、年休の取得に当たっては、労働者に対して時季指定権が与えられており、会社としても出来る限り請求のとおりに年休が取得できるようにすることが求められています。しかし、請求された時季に年休を与えると事業の正常な運営を妨げる場合においては、会社に時季変更権が認められています。

 ただし、この時季変更権についてはかなり限定的な解釈がなされていて、代替要員の確保や人員配置の変更など行ったうえでなお、年休を取得させては事業の遂行に大きな支障があるといった場合に限り、認められています。

 それでは、始業時刻前に会社に連絡があり、その当日に年休を取りたいと申請があった場合、会社は認める必要があるか否かについてはどうでしょうか。上記のとおり、年休は午前0時から24時間を単位として与えることになっており、当日の朝になって年休の申請をするということは、すでにその労働が始まっていることになります。また、会社には年休の時季変更権が認められていますが、当日の朝に申請された場合は、時季変更権を行使することが実際に不可能という状況にあります。

 この時季変更権の行使については、参考となる判例があり、「労働者の年次有給休暇の請求(時季指定)が使用者に時間的余裕を与えずになされた場合、使用者の時季変更権の行使が、休暇期間を開始し、又は経過した後になされたとしても、そのためにこれを違法とすることはできない(要するに、時季変更権の行使が実態的に無理な状況の場合は、労働者が休暇を取っている最中またはその後に、使用者が時季変更権を行使するとしても止むを得ないとの意)」としています。

 以上のことから考えると、当日の朝の年休申請について、会社はその申請を認めず、欠勤扱いすることは問題ない(その日は欠勤とし、有休は別の日とする)と考えることができます。しかし、実態として当日の申請を認めている場合については、会社が勝手に当日の申請を認めず欠勤扱いにすると、トラブルを招くことになってしまいます。

 出勤当日の朝に、急に体調が悪くなって休むこともあるでしょう。また、近親者の大事など、止むを得ない場合もあります。これらの場合について年休の取得を認めるか否かについて、あらかじめ検討しておく必要があります。会社としては、従業員に対して年休を取得する場合になるべく時間的な余裕をもって申請して欲しいことを伝えましょう。また、止むを得ない場合とはどんな時か、労使ともに共有するためにも、十分に社内アナウンスしておくことが望まれます。

(この項終わり)