夏場の電力不足に対応した働き方・休み方の工夫に向けて
2011.6.2
政府による、福島第一原発での事故に伴う最大使用電力の削減要請、浜岡原発の運転停止などを受け、企業では、電力が不足するとされる夏場において、いかに「電力不足・節電」に対応するかが課題となっています。
6月に入り、もうすぐ暑い夏、早めに準備を整え、安心して夏を迎えるための労使の話し合いのポイントを挙げてみます。
- 昼間の電力利用を節約するために、始業・就業時刻を見直す
- 平日の電力利用を節約するために、所定休日を見直す
- 夏の電力利用を節約するために、連続休業・休暇を活用する。労働時間の長さを見直す
大手企業では、「電力不足・節電」への対応として、勤務体系見直しで、秋以降継続も視野に入れている企業や、すでに夏季休暇の取り方などについての方針を発表しているところもあります。主な内容は以下の通りです。
- 夏季休暇の期間の延長・拡大(ニコン、ゼリア新薬工業など)
- 夏季休暇のまとめての取得(NTT、文化シャッターなど)
- 夏季休暇の取得時期の分散(NEC、東芝など)
- 在宅勤務制度の導入(KDDI、帝人など)
- サマータイム制の導入(ソニー、東京証券取引所など)
- 週休3日制。各階ごとに土日以外の休業日(コマツ)
- 6月〜9月は水曜日も原則休業(図書印刷)
- 本社で7月〜9月はフロアごとに輪番休日(キューピー)
- 本社の営業以外の部門で8月に10日連続で一斉夏季休業(アステラス製薬)
- 支社・支店で土曜日に出勤して平日休む「店舗休業」制度7月導入(住友生命保
険) - 7月〜9月の休日を木・金曜日に(自動車各社)
- 本社でフロアごとに午前か午後の在宅勤務を導入(NTT)
企業ができる節電のための具体策としては、次のようなことが考えられます。
- 照明関係…看板・ショーウインドーの消灯、LED電球への切替え
- 設備関係…エレベーターの運転削減、パソコンの小まめな電源停止
- エアコン・空調…冷房温度の引上げ、クールビズの強化
- その他…自家発電機の導入など
また、経済産業省では、東京電力・東北電力管内の中小企業やビルなど約20万カ所に、節電方法の助言などを行う「節電サポーター」を派遣すると発表しています。5〜6月にかけて、中小・零細企業を中心に、電気主任技術者などの専門家を2,000〜3,000人程度派遣するとのことです。
労働時間の見直し・所定休日の変更などによる労使協定の締結後は、更に所轄の労働基準監督署に届け出が必要です。また話し合いの上で就業規則の変更を行い、労働基準法第89条、第90条に従い、所轄の労働基準監督署に届け出が必要です。
就業規則の作成・変更については、以下を参照してください。
- 厚生労働省のモデル就業規則
(http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/model/index.html) - 労働契約法(第9条、第10条)
(http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukejun/roudoukeiyaku01/index.html)
労働時間などの見直し手続きについての問い合わせは、都道府県労働局労働基準部・労働基準監督署へお問い合わせください。また、育児や介護など家族的責任を有する労働者への配慮については、労使で十分話し合い、工夫をして適切な対応が必要です。このような労働者に対する法制度や助成金については都道府県労働局雇用均等室へお問い合わせください。
共同センターでも御相談に応じています。
(この項終わり)