年金の「第3号被保険者不整合記録問題」(年金問題を考える その11)
2011.5.5
サラリーマン(第2号被保険者)の被扶養配偶者である「第3号被保険者」(専業主婦など)について、本来必要とされる「第1号被保険者」への変更届出を行わなかったために、自分の年金記録と実態との間に“不整合”を生じている方が非常に多く(数十万人、場合によっては数百万人)発生している可能性があると推計されています。
これらの方への対応については、いったんは厚生労働省から「運用3号」と言われる特例通知が出されましたが、マスコミ報道でも大きく取り上げられた通り、「不公平である」「正直者がバカを見る」と批判され、この通知は廃止されました。
この問題を抜本的に解決するため、厚生労働省に特別部会が設けられ、現在、解決の方策が話し合われています。
果たして、国民が納得するような“抜本的な解決”を図ることができるのか、まだまだ不透明だと言えますが、現在、法律改正(国民年金法の改正)を目指す方向で動いているようです。
現在検討されている法改正案の主な内容は、次の通りです。
- 受給資格期間の特例創設(いわゆる「カラ期間」の導入)
- カラ期間となった期間への特例追納の実施
- 特例追納における分割納付、追納保険料の設定
記録上だけ3号のままになっていた期間については、健康保険などの他の記録からその誤りを判別し、正す方法もあったはずです。また、この問題が論議され法改正もされず、課長通知で実施されてしまったことには大きな疑問も残ります。
ただでさえ「難しい」「複雑すぎる」と言われる年金制度ですが、保険料をきちんと支払った人が納得できるような制度改正が行われることが望まれています。
- その1<第49回(2007.7.2)>
- その2<第53回(2007.11.1)>
- その3<第57回(2008.3.5)>
- その4<第61回(2008.7.1)>
- その5<第65回(2008.12.3)>
- その6<第68回(2009.3.5)>
- その7<第69回(2009.4.2)>
- その8<第73回(2009.8.1)>
- その9<第79回(2010.3.1)>
- その10<第84回(2010.8.4)>
(この項終わり)