共同センターロゴ小今月の話題(2010年5月)

サービス残業・労災かくしは刑事処分も!

2010.5.1

 厚労省より「平成22年度労働基準行政重点事項」が公表されています。これは、「労働基準監督官は刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行う」という規定の下、労働基準監督署による司法警察権の発動を認め、労働基準監督官に労働法令違反者を逮捕又は送検する権限を賦与する法律です。

 平成22年度の司法警察権(刑事処分)の発動を明示している重点分野は次の5分野です。

  1. 賃金不払い等を繰り返す事業主に対しては、司法処分を含め厳正に対処する。
  2. 重大又は悪質な賃金不払い残業(サービス残業)事案に対しては、司法処分を含め厳正に対処する。
  3. 偽装請負が関係する死亡災害をはじめとする重篤な労働災害については、司法処分を含め厳正に対処する。
  4. 技能実習生を含めた外国人労働者に係る重大又は悪質な労働基準関係法令違反事案については、司法処分を含め厳正に対処するとともに、職業安定行政との連携を図りつつ、出入国管理機関にその旨情報提供する。
  5. 「労災かくし」の排除を期すため、引き続き、的確な監督指導等を実施し、その存在が明らかになった場合には、司法処分を含め厳正に対処する。

 すくなくとも上記「5分野」に対しては、社内点検を行い、備えも万全にしておくべきでしょう。

 ただし、数ある労働法令の全ての法律にこの規定があるわけではなく、以下の7つの法律の範囲です。

  1. 労働基準法
  2. 最低賃金法
  3. 家内労働法
  4. 労働安全衛生法
  5. 作業環境測定法
  6. じん肺法
  7. 賃金の支払いの確保等に関する法律

 よって、育児介護休業法、男女雇用機会均等法、労働者派遣法、労働保険徴収法などの違反行為に対しては、労働基準監督官は、自らの権限に基づく司法警察権を行使しません。

(この項終わり)