「改正労働基準法」時短への取組みは?
2010.4.2
4月1日から改正労働基準法が施行されました。今回の改正の中心は次の2点です。
- 労使協定を締結すれば従業員が1時間単位で有給休暇を取得できる
- 月60時間以上の時間外労働に対する割増賃金率を現行の25%以上から50%以上に引き上げる
中小企業については当分の間、法定割増賃金率の引上げについては猶予されます。
とはいえ、業績不振に苦しむ企業にとっては、長時間労働の解消(時短)に取り組む余裕がないのが現状です。法改正に対応する積極的な動きは、大手企業においてもあまり目立っていないようです。
現在、年次有給休暇は原則として1日単位でしか取得することができません。これが改正後は、労使協定があれば1時間単位で年間最大5日分を取得することが可能となります。
しかし、「生産現場の要員配置やライン稼働に大きな影響が出る」といった理由から、1時間単位の有給休暇制度の導入を見送る企業も少なくないようです。また、この制度の導入には労使間の協議が必要ですが、労働者側からの導入の要求自体が出ないケースもあります。
その一方で、時間外労働の割増賃金率の引上げへの対応として、労務コスト削減のために時短を進めることが考えられますが、準備を進めている大手企業はあまり多くはないという調査結果もあるようです。
時短は一般に進んでいるとは言い難く、厚生労働省の調査によると、日本企業の時短は過去10年でほとんど改善していません。1999年と比べ2008年の労働時間は大手・中小企業とも増加しており、有給休暇取得率も下がっています。ただ、サービス関連企業では法改正を契機に積極的に時短に取り組む傾向もみられます。
2015年までに上場企業に義務付けられるとみられる国際会計基準(IFRS)では、企業は未消化の有給休暇に相当する費用を引当金として負債に計上しなければならない見通しです。負債の増加を嫌う企業は多く、制度の導入は従業員に有給休暇の取得を促す可能性が大いにあります。
共同センターでは、時短についての就業規則改定のご相談に応じています。
(この項終わり)