共同センターロゴ小今月の話題(2008年6月)

「診療5分ルール」をご存じですか?

2008.6.2

 「3分診療」という言葉にあるように、医師の診察時間が短いことに不満を持つ患者さんは多いといいます。こうした状況を変えようと、2008年4月から、いわゆる「診療5分ルール」がスタートしました。診療時間が5分を超えるかどうかで医療費が変わります。

 手術や検査など、すべての医療行為には「診療報酬」という全国共通の価格がついています。この診療報酬は2年ごとに見直されます。対象となるのは、診療所や一般病床数が200床未満の中小病院です。2回目以降の受診(再診)の場合、従来は基本の再診料(病院600円、診療所710円)に外来管理加算(520円)を診療時間に関係なく上乗せできましたが、改定後は「診察時間が5分以上」という条件がつきます。たとえば、会話がほとんどなく常用薬の処方箋を出すような「薬だけ診療」には加算がつかず、現役世代の患者なら、自己負担(3割)は約150円安くなります。また、今回の診療報酬改定では、精神科外来の再診にも時間制が導入されました。カウンセリングなどの精神療法が「5分未満」、「5分以上30分未満」、「30分以上」で医療費が変わるようになっています。

 ですがひとつ疑問が生じます。いったいどうやって「5分」という時間を計るのでしょうか。

 厚生労働省は「丁寧な診察を求めることが狙いであり、ストップウォッチや砂時計などを使って厳密に計ることを求めているわけではない」と説明していますが、第三者がチェックできないようでは意味がありません。

 不正を防ぐため、医師には診察内容や所要時間をカルテに記載させることになっています。1時間に12人以上の患者を診察したり、5分以上を要したりする診察内容だったかどうかがチェックの対象になりますが、所要時間をごまかせない仕組みとしてはやや不安があります。

 「5分ルール」に関しては、「丁寧な診療が期待できる」という患者側の期待に対して、医師側からは「時間要件を満たして診療時間内に診察を終えようとすれば、1日に診察する患者数を削減せざるを得なくなる」といった意見や、「患者数を減らせば経営が悪化するし、時間要件を満たしてすべての患者を診察しようとすれば診察時間を大幅に延ばさねばならなくなり、医師の疲弊や看護師の労働強化につながる」といった意見も出ています。

 医療制度のどこを、どれくらい、どのように見直したら、より安心できる診療に近づけるのでしょうか。賛否両論の中でスタートした「5分ルール」ですが、医療を受ける患者の立場からは、「3分」が「5分」になっても「貧相な医療」というイメージを覆すのは難しいようにも思えます。ともあれ、「5分ルール」は医療のあり方に一石を投じることになりそうです。

5分時計

(この項終わり)