共同センターロゴ小今月の話題(2008年1月)

混合診療を知っていますか?

2008.1.4

 病院などで治療を受けるとたいていは保険がききます。会社員の場合、自己負担は治療費の3割で残り7割が保険から出ます。このような治療を「保険診療」といいます。ただ、すべての治療に保険がきくわけではありません。国が認可していない医療技術や薬を使う治療は「保険外診療(自由診療)」といって全額が患者の自己負担になります。

 ひとつの怪我や疾病に対して、複数の治療を並行して行うことがあります。このとき、保険診療と保険外診療を組み合わせた医療行為が行われることを「混合診療」といいます。1人の患者が、保険のきく治療とともに保険がきかない新薬の治療も受けたような場合が該当します。

国は原則として混合診療は認めず

 国は、原則として混合診療を認めていません。厚生労働省は禁止の理由を「安全性や有効性が確認されていない医療行為が安易に使われてしまうから」と説明しています。「医師に比べて専門知識に乏しい患者がだまされて不要な医療を受ける不安もある」とも指摘しています。

 禁止といっても罰則はありませんが、厚生労働省は混合診療が広まらないよう、ある措置を取っています。混合診療を受けたら保険診療の分も含めて全額が患者の自己負担になるという仕組みです。「安全性に乏しい医療行為を横行させない心理的ハードルにするため」(厚生労働省)だといいます。

 一方、混合診療に保険を適用せず、患者に全額負担を求める国の制度の是非が争われた訴訟では、「国の健康保険法の解釈は誤り」と指摘し、混合診療の原則禁止を違法とする初の判断(東京地裁2007年11月7日判決)を示しましたが、国は判決を不服として控訴しています。

混合診療が認められている特例

 混合診療の中には、以下のように特例として認められている治療もあります。この場合は保険診療の部分に保険がききます。将来保険の対象になる可能性が高い先進医療や患者の選択で特別の費用を負担する差額ベッド代などを組み合わせた場合などが該当します。しかし国は全面解禁する考えではなく、混合診療の問題は今後も賛否をめぐる議論が続きそうです。

  • 評価療養
    • 先進医療(将来、保険の対象になる可能性が高いもの)
    • 医薬品や医療機器の治験
    • 薬事法の承認後で保険の承認前の医薬品や医療機器の使用
    • 将来、保険対象となる可能性が高い未承認の医薬品
  • 選定療養
    • 特別室の利用など差額ベッド代
    • 歯科の金合金など、金属床の総義歯、子どもの虫歯の指導管理
    • 予約診療、時間外診療、大病院の初診、大病院の再診
    • 180日超の入院、制限回数を超える医療行為

 労働災害による負傷、疾病の治療においても、混合診療が役立つことがあるかも知れません。上の説明から分かるように、混合診療を選択すると原則的に労働保険の適用外となりますが、特例として認められるケースもあるということです。労災といえども、治療法の選択時に混合診療を無条件に排除はせず、有効な治療法であると考えられる場合は検討してみるだけの価値があると言えるでしょう。

(この項終わり)