共同センターロゴ小今月の話題(2007年3月)

書面による意思表示(リビング・ウィル)と終末期

2007.3.1

 高齢化が進み、やがて来る終末期に備えて「リビング・ウィル」(Living Will、生前の意思)ということばに対する理解が進みつつあります。リビング・ウィルとは、自らが不治の疾患などによって、意思表示できない状態になった場合に備えて、前もって「延命治療の可否や臓器提供などについての自分の意志を書面で残したもののことです。自らの「死後」に対する意思表示ではないという点が、遺書や遺言状と異なります。

 日本では年間100万人が亡くなっていますが、病院・施設で亡くなる割合が約85%を占めると言われており、終末期の医療について自己決定し、意思表示しておきたいと考える人が増加するのも頷ける話です。

 厚生労働省の調査では、自分が痛みを伴う末期状態の患者になった場合、単なる延命治療について「やめたほうがよい」、または「やめるべきである」と回答した人は74%に上ります。また他の調査では、「突然死ぬ」ことを理想の最期とした人に、その理由(複数回答)を聞いたところ、「家族にあまり迷惑をかけたくないから」(85.9%)という答えが、「苦しみたくないから」(62.3%)を上回っています。痛みや苦しみからではなく、家族への負担を心配していることがうかがえます。日本では家族介護の負担が大きく、主たる介護者が1日8時間以上介護している世帯は、2000年で要介護者のいる世帯の20.5%になっているほどです。

 一方、患者や家族が担当医師とは別の医師から、診断や治療に関してアドバイスが受けられる「セカンド・オピニオン」という制度があります。終末医療に対する参考にもできますが、担当医師との信頼関係を損なうのではないかと懸念してか、あまり利用する人は増えていないといいます。

 当事務所にも、終末期の意思表示をしておきたいので書面を作成して欲しいという依頼がありました。まさしく、リビング・ウィル作成に関するご相談です。そこで、どのような意思表示が書面として最適か、本人の話をお聞きし、文書を作成しました。共同センターでは、今後もこのようなご相談に応じ、必要に応じて書類の作成もおこなっていきます。

 米国では、多くの州でこうした「事前指定書」の作成を法で定めており、入院の際に確認することになっています。「回復可能な状態」と「回復不可能」な状態とに分け、それぞれの治療法を「緩和ケア」、「限定治療」、「外科的治療」、「集中治療」の4つから選んでおくのです。たとえば、回復可能ならば「集中治療」を、回復不可能ならば「緩和ケア」を望む、という具合です。日本でも、本人の意思で終末期を過ごせるよう、法整備をすすめて欲しいものです。

(この項終わり)