新「会社法」について
2005.09.05
平成17年6月29日、新会社法が参院で可決し成立しました。この新会社法は原則として、平成18年春(施行日は未定)に施行されます。また、会社法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律は、整備法として会社法の施行日に施行されます。
これまでの「商法」では、会社として、株式会社、有限会社、合資会社、合名会社の4種類が用意されていました。これが新「会社法」では、株式会社、合同会社、合資会社、合名会社の4種類となり、手続きさえ踏めば他の種類の会社に変更することができるようになります。
今、なぜ新「会社法」なのでしょうか。
日本経済が大きく変化して企業のあり方が変わってきているからです。
新会社法の特徴を見ると、この法律が成立した背景と密接な関係にあることが分かります。今回は、簡単に新会社法のポイントを整理して、その特徴を説明します。
新会社法のポイント
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有限会社制度が廃止されます。
ただし、現にある有限会社はそのまま存続できます。株式会社に変更もできます。
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会社設立の資本金が1円でもOKになります。
株式会社をつくる際に資本金はいくらでもよく、最低資本金を用意する必要がありません。
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取締役は1人でもOKになります。
株式会社でも、株式譲渡制限会社であれば、「取締役は1人」でもいいのです。したがって、取締役会は強制設置ではなくなります。
新会社法の特徴
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条文がカタカナから、ひらがな表記となります。
これにより新会社法の条文が読みやすくなります。
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起業が簡単です。
お金の準備に苦労せずとも済みますし、取締役が1人でもよいので、役員を選ぶ必要がありません。
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M&A(合併、買収、営業譲渡、資本提携)の自由度が増します。
自社の事業を拡大し、経営の多角化や相乗効果が期待できます。
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合同会社、LLP(有限責任事業組合)、会計参与の新設ができます。
合同会社の社員は「有限責任」であり、社員は経営に参加しながら出資の額を限度に責任を負います。
LLPは、合同会社に似ていますが会社ではありません。出資者達の協力によって、「団体」が成立します。株式会社では出資者(株主)と執行者(取締役)が分離していますが、LLPでは出資者=執行者となり、法人税がかかりません。その代わり、ひとり一人が税金を支払う仕組みです。
各法人には、会計参与を置くことができるようになります。設置は自由です。取締役と公認会計士や税理士が共同で決算書類を作成し、その信頼性を高めるものです。取締役会を設置した会社では監査役の設置が必要ですが、中小企業では、監査役の代わりに会計参与を設置できます。
新「会社法」で有限会社はどうなるのか
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有限会社は設立できなくなり、「株式会社」にまとめられます。
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すでにある有限会社はそのまま「有限会社」を名乗れます。
法律上の規定は株式会社の規定が使われますが、「有限会社」という商号はそのまま続けて業務ができます。
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有限会社は有限会社でいることもできるし、登記手続きを経て「株式会社」に移行することもできます。
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有限会社から株式会社に移行しても、有限会社の形をとれば、資本金を増やしたり、取締役の数を増やしたり、監査役を選出する必要はありません。
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有限会社が株式会社に移行した後には、役員の任期(最長10年)や決算公告の義務があります。
新会社法上では、有限会社と株式会社は、制度上それほど違いがないことがわかります。
(この項終わり)