NPO(民間非営利活動団体)について。その1
2003.02.03
1. NPOとは
NPOは、日本語で「民間非営利活動団体」のことをいいます。英語の「Nonprofit Organization」あるいは「Not-for-profit Organization」訳したものです。日本では、1998年(平成10年)に公布、施行された「特定非営利活動促進法」(通称NPO法)にある要件を満たすと「NPO法人」として認められます。
ここでいう「非営利」とは、「無償のボランティア」の意味ではありません。「利益よりも社会的使命を優先させる」という意味です。
NPOが有償の活動を通じて利益を得ることは問題ありません。その利益は、株式会社などのように出資者や会員に分配するのではなく、次の活動の資金にすることになります。当然、NPOの活動を担当するスタッフ等、専従職員の報酬(社会保険料等を含む)もこうした収益から支払うことができ、組織運営上の必要経費として認められます。
NPO法人そのものに関しては、次回の当欄で解説します。
2. 5月1日に改正NPO法が施行
昨年(2002年12月18日)に、「特定非営利活動促進法の改正法」(改正NPO法)が公布され、本年5月1日より施行されます。そこでは、1998年の「NPO法」で定められた、NPO法人の活動として認められる「特定非営利活動」の種類が追加されます。
以下に、改正NPO法における該当部分の条文(抜粋)と、別紙として付記されている活動の種類の一覧を掲載します。赤い太字の部分が、今回の改正法で追加されるものです。
条文(抜粋)
この法律において「特定非営利活動」とは、別表に掲げる活動に該当する活動であって、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするものをいう。
別紙(第二条関係)
- 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
- 社会教育の推進を図る活動
- まちづくりの推進を図る活動
- 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
- 環境の保全を図る活動
- 災害救助活動
- 地域安全活動
- 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
- 国際協力の活動
- 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
- 子どもの健全育成を図る活動
- 情報化社会の発展を図る活動
- 科学技術の振興を図る活動
- 経済活動の活性化を図る活動
- 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
- 消費者の保護を図る活動>
- 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
3. NPOの最低5条件は
日本におけるNPOの活動内容として認められるのは上記の通りです。ですが、上の活動をおこなう組織であることだけが、「NPOである」条件ではありません。最低でも、次の5つの条件を満たさなくてはなりません。
- 正式な組織であること
- 民間組織であること
- 利益の分配をしないこと
- 自己統治的であること
- 自発的であること
実質的に規約や定款などを定めていて、組織としての意思決定のシステムが明文化されていなくてはなりません。
政府や行政、その外郭団体等ではないことが必要です。
最も重要なことです。冒頭で説明したように、NPOはボランティア活動だけでなく、収益事業を行うことができます。ただし、その際に得た利益は出資者等に分配するのではなく、次の活動資金とするのです。
これは、NPOを組織として認める必要条件です。具体的には、組織の活動を行うために合議、意思決定をおこなう機関として、理事会等と設置する必要があります。
NPOの活動は外部から強制されることはありません。また、個々のスタッフも強制的に参加させられるのではなく、自発的に参加することが前提となります。
(この項続く)