社会保険(健康保険・厚生年金保険)の総報酬制が決定!!
2002.09.02
健康保険と厚生年金保険の保険料、いわゆる社会保険料を総報酬から一定の割合で徴収する「総報酬制」の導入が決まりました。平成15年4月以降の報酬に対して適用され、徴収は翌5月からとなります。
従来、標準報酬に対する料率は高く、賞与等に対する料率は低く設定されていましたが、新制度では同率となります。健康保険、厚生年金保険ともに標準報酬に対する料率が若干の引き下げとなるのに対し、賞与に対する保険料率が10倍以上に引き上げられるため、総報酬に対する賞与額の割合が高いほど労使ともに大幅な負担増となります。
厚生年金保険料率
標準報酬月額は現行の173.5/1000が135.8/1000に改正されます。
賞与の特別保険料は10/1000が標準賞与額の135.8/1000に改正されます。
- 保険料負担は事業主と被保険者で折半となります。
- 標準賞与額は各自1,000円未満を切り捨て。
- 厚生年金保険の標準賞与額1回の支給額上限は150万円。
- 平成16年4月以降、標準賞与額が在職老齢年金、老年年金額に反映されます。現行の賞与特別保険料は年金額に反映されていません。
- 給料と賞与との比率が10:3程度の場合、今回の改正でも労使の負担額は現行とほぼ同じになります。
健康保険料率
標準報酬月額は現行の85/1000が82/1000に改正されます。
賞与の特別保険料は8/1000が標準賞与額の82/1000に改正されます。
- 保険料負担は、事業主と被保険者で折半となります。ただし現行の特別保険料は、事業主は5/1000で被保険者は3/1000となります。
- 標準賞与額は、各自1,000円未満を切り捨て。
- 健康保険の標準賞与額1回の支給額上限は200万。
- 給料と賞与の比率が健保法改正案で想定されている12:1.9程度の場合、75/1000で現行とほぼ同一の料率となります。そのため、この比率の場合、改正料率82/1000は労使ともにかなりの負担増となります。
標準賞与額の届出は、現行の月額変更届と同様な新様式にて、個人別の賞与支給金額を届出ることになります。提出期日は、賞与等支給日から5日以内は現行と同じです。
まとめます。
- 賞与額も、標準報酬月額と同一の料率で徴収する制度。
- 賞与額(標準賞与額)は、年金給付金額に反映。
- 適用は平成15年4月以降分から。翌5月から徴収。
共同センターでは、総報酬制を考慮して、在職老齢年金や厚生年金の65歳支給上乗せも含めた事業所の賃金体系や問題点について、事業所ごとに分析、説明会の実施等のサービスを提供可能です。
(この項終わり)