共同センターロゴ小今月の話題(2001年2月)

働く人の心の定期健康診断が大切です。

最近のできごと

 不動産会社で営業している私の甥(30歳前)は、たまの休暇中も常に携帯電話で顧客、会社、マンション管理会社等に連絡をとり続けています。そうしないと会社の要求している営業成績を達成できず、いつ辞めることになるかわからないと話しています。

 大学で光工学関係の研究しているもう一人の甥(同じく30歳前)は、毎日研究室を出るのが最終電車ギリギリの時刻で、十二指腸潰瘍の治療もしたようです。

 自動制御機械の技術者である、知人である男性(25歳)は、土日祝日に関係なく、日本全国を走り廻る過剰労働にもかかわらず、太り続けているために2週間に1度病院に通っています。

 あるコンピュ−タ会社の従業員は、コンピュ−タを操作している最中に、椅子からまうしろに倒れ、そのまま気を失いました。

 急いで書類を運んでいた女子事務員が、何もない平らな通路で突然転倒しました。

 ある企業の営業マンは、展示会場でユ−ザ−を案内している最中にめまいを起こして転倒。痙攣を起こし、救急車で収容されました。

 以上は、この半年ほどに見聞きしたことです。これらは仕事に伴うストレスや過労が原因となり、心を病んだ事例と思われます。根底には、経済不況、リストラ、テクノストレス(パソコンやインターネットが使えないことによるものと、のめり込みすぎることによるものの両方)などがあるのでしょう。すでに、労働者が心を病むのは特別なことではない時代になってしまっているのです。極端な例ですが、ストレスや過労から「うつ病」にかかり、自殺した労働者の損害賠償が認められた最高裁判例は、先月の話題のとおりです。

「心の病」に負ける前に行動を

 共同センタ−では、ストレスや過労から発生した事故は労働災害として対処するとともに、会社に対してこうした事故の発生を未然に防止する施策を提言しています。必要であれば、産業メンタルヘルスのための「メンタルヘルス研究所」や「産業精神科医」の紹介もしています。  ですが、残念ながら今だ同様な事例は減少していません。

 働くみなさんは、あなた自身をあなたが守るために、次のことを心がけてください。

  • 過剰な残業は断る。(特に、サ−ビス残業)
  • 休日の労働は避ける。
  • 疲れたら有給休暇を取る。
  • 精神的に追いつめられる前に、精神科医師などに相談する。

 ストレスに耐えきれず辞表を提出したり、事例のように不幸にも鬱(うつ)から自殺へ至ってしまう方もいます。すでに述べたとおり、働く環境が厳しくなっているのが大きな理由であることは間違いありません。

 ですが、もっと根元的な問題として、こうした精神的なトラブルが露見したら職を失う、周囲から異常な人間と思われてしまう、という恐怖心から、問題を一人で抱え込んでしまっていることがあるのではないでしょうか。

 多くの人は「心の病を抱えているのではないか」と周囲の人に思われることすら恐れがちです。専門家の診断を受けることに抵抗を感じたり、診断結果を認めようとしない人は多いはずです。

 確かに、多くの職場や地域社会は、肉体的なトラブルと比べて精神的なトラブルを抱えた人に対して理解があるとは言えません。メンタルケアを担当する専門家を常駐させる企業はまだ少数派です。

 それでも、精神的なトラブルに対しては、自分から行動しない限り、事態は悪化しても好転はしません。

 精神的なトラブルで専門家に相談したり病院に行ったりするのは、怪我や病気で病院に行くのと同じです。放っておけば悪化します。早期に適切な治療を受けることで、完治はしないかもしれませんが、病とうまく付き合っていくことはできるようになるでしょう。筋肉隆々の力持ちで健康な人もいれば、やせて病弱な人もいます。それと同じように、ちょっとのストレスではへこたれない精神的に頑強な人と、そうでない人とがいるのです。

 労働基準法等の法律も、必ず働くあなたを守っています。

会社のバックアップ体制が、労働者だけでなく自社も助ける

 会社も先手を打たなくてはなりません。精神的に追いつめられた従業員を「たるんでいる」などと評価し、放置もしくは排除するような環境ではだめです。

 景気、ビジネス、雇用など、労働環境は「不安」が取り巻いています。

 労働者の心の健康(メンタルヘルス)を守る体制を確立することによって、「不安に負けそうになっても助けてもらえる環境がある」という安心感を全社に提供することできます。だからこそ、こうした体制を整えることが、厳しいビジネス環境を自社が生き抜く重要なポイントになるのではないでしょうか。

 しかし、ことが心に関わる問題なだけに、体制づくりには配慮も必要となります。共同センタ−では、こうした社内体制の整備のお手伝いをさせていただく準備を整えています。

(この項終わり)