共同センターロゴ小今月の話題(2001年1月)

21世紀の「労災」はココロよりカラダ!?

 数年前から、「心の病」と「労災」との関係についての質問が当事務所に数多くあります。生産性新聞の報道によると、企業内の健康相談の10パーセント以上が、ストレスやノイローゼなどの心の病に関するもので、この傾向は年々増加しているとのことです。

 数年に渡る景気の低迷や失業率の上昇、企業間競争の激化による現場への過大な要求、あるいは、IT(情報技術)革命に対応するためのコンピュータを駆使する業務手法の激変など、「働く人」は常に追いつめられているようなものです。「心の病」が大きな問題になるのは無理のない話です。

 正月明けに電話相談を受けたのも、こうした心の病に関するものでした。

 電話の主は20代前半の男性です。昨年4月の採用で、店頭販売を担当していましたが、昨年10月に「自己都合」で退職したのだそうです。相談の内容は、

「仕事が原因と思われる労務不能、退職のため、労災の認定を受けたい。」

とのことでした。

 現在通院治療中で、医師の診断では、「強迫神経症」とのこと。一日14時間にも及ぶ長時間労働と売り上げノルマ達成のプレッシャーが原因かも知れないそうです。

 最高裁判決で、「大手広告代理店に勤務する労働者が長時間にわたり残業を行う状態を1年余り継続した後にうつ病にり患し自殺した場合において、使用者の損害賠償責任が認められた」という事例があります。

(「長時間にわたる残業を恒常的に伴う業務に従事していた労働者がうつ病にり患し自殺した場合に使用者の民法七一五条に基づく損害賠償責任が肯定された事例」 平成12年3月24日裁時1264号7頁)

 本格的に相談がある場合は、ふたたび連絡してもらうよう伝えるとともに、次のようなアドバイスをしておきました。

  • 労災にも時効があるので、手続きは早い方がよい。
  • 医師の診断書、意見書を持参して所轄の監督署に相談すること。 (長時間の勤務を証明する資料も含める)
  • 元の職場の担当者にも相談をすること。

 すでに大企業の中には、「心の病」に対するケアに力を入れているところがあります。でも、中小の企業では、なかなかこうしたところまで手が回りません。

 「共同センター」でも、こうした問題に的確に対応できる体制を強化しているのはもちろんですが、雇用者側、国や業界団体など、様々な方面でも理解と対応を望みたいところです。

(この項終わり)