企画業務型裁量労働制(新しい裁量労働制が施行:その3)
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平成12年4月1日より施行された新しい裁量労働制で、法律の対象となる事業場とはどの様な事業場なのでしょうか?
このことについて、指針「労働基準法第38条の4第1項の規定により同項第1号の業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保をはかるための指針」 (平成11年12月27日労働省告示第149号)では、対象事業場を
法第38条の4第1項の事業運営上の重要な決定が行われる事業場
と定め、詳細が次のとおり具体的に述べられています。
1.当該事業場に関し具体的に明らかにする事項
法第38条の4第1項の事業運営上の重要な決定が行われる事業場(以下「対象事業場」という。)とは、当該事業場の属する企業等にかかる事業の運営に大きな影響を及ぼす決定が行われる事業場をいい、具体的には、次に掲げるものが該当する。
- 本社・本店である事業場
- 1.に掲げる事業場以外の事業場のうち、当該事業場の属する企業等に係る事業運営上の重要決定を行なう権限を分掌する事業本部又は地域本社、地域を統括する支社・支店等である事業場等本社・本店に準ずるもの
さらに、次のような「留意事項」があります。
2.留意事項
- 使用者は、本社・本店である事業場以外の事業場(以下「非本社事業場」という。)が1の2に該当するか否か判断するに当たっては、当該非本社事業場に、当該非本社事業場の属する企業等に係る事業の運営に大きな影響を及ぼす決定を行なものであり、例えば、事業本部である事業場であれば、当該事業場の属する企業等が取り扱う主要な製品・サ−ビス等についての事業計画の決定等を行なっているか否かによるものであることに留意すること、また、例えば、地域本社や地域を統括する支社・支店等である事業場であれば、当該事業場の属する企業等が事業活動の対象としている主要な地域における生産、販売等についての事業計画の決定等を行なっているか否かによるものであることに留意することが必要である。
- 事業場に役員が常駐している場合には、通常、当該役員の指揮の下に当該事業場の属する企業の事業の運営に大きな影響を及ぼす決定が行われていると推定されるものであることから、使用者は、1.に規定するところによる判断に当たり、当該非本社事業場が1の2に該当すると判断することについての判断材料になるものであることに留意することが必要である。
ここでの「役員」とは、原則として、商法上の取締役を指すものですが、いわゆる「執行役員」、「執行理事」の場合には、当該執行役員、当該執行理事がその実態として当該非本社事業場の属する企業の業務の運営に関して、商法上の取締役に準ずる権限を有するか否かによって判断すべきものと思われます。 社外役員の増加傾向の中で、ここでいう「役員」か否かの判断は大変難しいと思われます。
(以下、次回に続きます)